さて、これまで事業の筋の良さを確認する術をご紹介しました
これで熱量もプロダクトもマーケティングもマネタイズも、一通り見て問題ないことが確認できたぞ。
よし株を買おう\\٩( 'ω' )و ///
... っ て ち ょ っ と 待 っ て く だ さ い !
まだ確認していないことがありますよね。
それは「具体的にどれくらい儲かりそうか?」です。
今はまだ「ビジネスモデルの筋は良さそうだし、熱量も高い」ということしかわかっていません。
どのくらいの規模になりそうかを数字に落とし込む必要があります。
そんなことができるの?とお思いでしょうか。
こんなときに強力な手段があるのです。
それは「フェルミ推定」です!
フェルミ推定とは
聞きなれないかもしれませんが、ビジネスマンや投資家にとって必須の技能です。
言葉自体は知らなかったとしても、ロジカルシンキングの延長や業務上の訓練で身につけている人もいることでしょう。
もしかしたら外資系コンサルや投資銀行などのハイクラス就活を経験したことがある人なら面接でやったことがあるかもしれませんね。
フェルミ推定とは、一見答えの出なさそうな問題に対して、ロジカルかつ大胆な前提をおきながらごく短時間で推量し、答えに迫る手法です。
wikipediaでは「実際に調査するのが難しいようなとらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算すること」と書かれています。
たとえば、
・シカゴにピアノ調律士は何人いるか
・東京ドームにバレーボールは何個入るか
・東京にマンホールは何個あるか
といった、掴みどころのないお題に対して答えを導き出す手段です。
フェルミ推定はどんな場面で使うの?
そんなことを考えて意味あるの?と最初は思いますよね。
でもフェルミ推定を身につければ筋の良し悪しを短時間で推量できるようになります。
たとえば「メルカリが上場できる規模なんだから、ターゲットを絞ってより使いやすいフリマアプリを作ればそこそこ上手くいくかもしれない」と考えたとしましょう。
そこで❶女性向けファッションフリマ(=初期のFril)と、❷オタク向けグッズのフリマ(=オタマート)の案を考えたとします。
どちらの市場の方が有望でしょうか?
そうした場面でフェルミ推定は活躍します。
具体的手法は書籍等に譲りますが、圧倒的に❶という結果になります。
さらに、❶でも市場性は怪しく、厳しい戦いになりそうだという結論がでるはずです。
こうしたことを、ものの5〜10分くらいで整理・検証することができるようになるので、数をこなせばこなすほどに事業の見極めの筋が良く、そして断然早く・正確になっていきます。
伝説的なコンサルだった大前研一氏は電車通勤中に中吊り広告を見ながら
・この商品の売上規模はだいたいどのくらいで、今後10倍にするにはどうするか
・この商品の市場規模はどのくらいで、どうすれば2倍にできるか
といった思考実験を常にしていたというのは有名な話ですね。
実際にフェルミ推定をしてみよう
では具体的に有名な調律師の例でフェルミ推定の基本を見てみましょう。
解き始める前にまず仮定を置きます。
・シカゴの人口は300万人とする
・1世帯あたり平均3人とする
・10世帯に1台の割合でピアノを保有している世帯があるとする
・ピアノの調律は平均して年に1度行うとする
・調律師は1日に平均3台を調律するとする
・調律師は休日を除く年間250日働くとする
その仮定をもとに、
シカゴの世帯数は(300万/3)=100万世帯。
だからピアノの総数は(100万世帯/10世帯)=10万台。
すなわちピアノの調律は年間に10万件行われる。
一方、ピアノの調律師は年間で250日×3台=750台を調律する。
以上から調律師の人数は10万件/750台=約130人
という感じに推定します。
フェルミ推定をたくさんやれば、実は型はだいたい数個に収斂されるということに気づきます。
1. ミクロからのボトムアップ
1-1. 法人視点
1-2. 個人視点
2. マクロからのトップダウン
3. 面積・体積ベース
など。
型を身につけられたらスピードも精度も圧倒的に上がりますよ
良いフェルミ推定は良いインプットから始まる
なお、フェルミ推定はとても有用で強力な思考法ですが、推定をする人の知識量や経験に精度が大きく左右されてしまう点は覚えておかなければなりません。
私は一貫して分析には基礎情報のストックが大切だ、定規の多さが武器だと申し上げていますが、その理由はここにあります。
なお、フェルミ推定はケース問題をたくさん解くことで身につくものです。
なのでここではフェルミ推定という考え方と、その有意性だけ伝われば良しとします。
興味が湧いた方は下記のオススメ書籍にチャレンジしてみてください。
現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート
最後に
以上、フェルミ推定というスキルのご紹介でした。
私は学生時代の就活で知り、実のところどうして面接でこんな問題を解かせるんだろうと思っていました笑
しかし、社会人になってからその意義を大きく実感しています。
株式投資だけに役立つスキルではなく、むしろ広い場面であなたをきっと賢くしてくれるツールですよ!