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企業の個別施策を評価できるようになろう

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企業分析をするとき、市場環境や競合の動向を分析することも大事ですが、企業の施策の妥当性を調査することも大事です。

でも個別施策を評価するって、いきなりは難しいですよね。

 

そこで、どういう風に考えれば良いのかの参考になればと、簡単なケース問題を1問ご用意しました。

あなたならどのように考えるでしょうか?

ケース問題

問題です。

月商が1,000万円の会社があります。

商品はコモディティではなく、@1,000円で1万個販売しています。

仕入原価は@750円なので粗利は250万円ですが、固定費も月250万円かかっています(すなわち利益0)。

この会社が100万円の利益を出すために最も効果的な施策はどれでしょうか?

  1. 販売数量を増やす
  2. 仕入単価を下げる
  3. 固定費を減らす
  4. 商品を値上げする

 

 ...

 

.........

 

...............

 

 

考えはまとまりましたか?

解説の前に、一旦フォロワーの皆さんの考え方を見てみましょう。

 

 

4.値上げが最も多く、次いで3.コスト削減、1.数量増ときて、最後に2.仕入れ単価の交渉という結果になりました。

では次章から解説を始めます。

ネタバレ解説

それぞれ100万円の利益を出すために必要な数字を出します。

  1. 100万円÷@250円=4,000個(数量40%増)
  2. 100万円÷1万個=100円(13.3%値引き交渉)
  3. 固定費-100万円(固定費40%削減)
  4. 100万円÷1万個=100円(10%値上げ)

ということで、答えは4ということになります。

現場のオペレーション視点でも考えてみる

ここで解説を終えてしまうのは味気ないので、実際のオペレーション面も少し考慮してみたいと思います。

  1. 数量増は値下げを伴いがち。営業が疲弊
  2. 値引交渉は購入数増を伴いがち。一般的に難易度高い
  3. すでに切り詰めている蓋然性が高い
  4. コモディティでなければ販売数量は減らさずとも値上げ余地あり

ということで、やはり4の難易度は比較的低いと考えられます。

コスト削減の解説の補足

3の費用削減は即効性がありますが問題は規模感です。

固定費というと人件費、家賃、広告費などですが、この規模の会社で100万円だと人員整理くらいしかなく、販売戦略や従業員のモチベーションへの大きな影響が予想されます。

費用削減は基本ですが、本件では縮小均衡の懸念が強まります。

解答まとめ

まとめますと、

商品がコモディティでなければまず検討すべきは値上げ。

 

ただ、値上げもリスクはあるため、並行して他の選択肢も検討します。

固定費の削減だけは唯一自社で完結できる施策であるため、検討・実行が早いです。

なので短期的なインパクトを期待して先に取り組みます。

 

次いで仕入れ価格の交渉。

こちらは仕入れ値を下げてもらうための手土産(購入ロットの増加など)を用意しないといけませんし、ただでさえ交渉事なので時間軸を長く持つ必要があります。

ですのでこちらは長期的に、段階的に引き下げられるかチャレンジしていく形になります。

 

そして最後に、値上げの結果を見ながら需要がまだそれを上回りそうだったら販売数量の増加を検討します。

値上げの結果を待つため、優先順位は一番最後になろうかと思います。

また、数量増は在庫の増加を伴うため、在庫リスクと資金繰りの懸念が増えます。

そういう意味でも数量増は慎重に判断し、なるべくそれ以外の選択肢を先に検討しておきたいところですね。

 

参考になる回答

問題文での情報が限定的なので、私の用意した正解に一致しているかどうかは瑣末な問題です。

参考になる考え方のツイートをご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【蛇足】値上げについて

一般的に利益を上げるためには値上げを検討します。

ただし、それが受け入れられるよう良いプロダクトを作らねばなりません。

バフェットもコカコーラのように消費者独占的な企業を好みます。

コミディティではなく、「炭酸ならコーラでしょ」というように純粋想起されるような会社です。

 

逆に言うと、値上げ余地があるということは永続的競争優位性がある証左ですね。

ディズニーランドやUSJ然り、Amazonのプライム会員然り。

そういった会社の株を買うようにしたいものです。