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事業性を見極めるコツ【初級編】

f:id:Buffett_code:20180828105126p:plainこれまで優良企業の探し方、儲けの嗅覚を鍛える方法を解説してきました。

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銘柄の網羅的な探し方は分かったけど、そもそも儲かる会社ってなにをもって判断すれば良いのよ?

そんな方も多かったかもしれません。

ということで今回は、「儲かるかどうか見極めるコツ」の初級編をお送りしたいと思います。

今回もどうぞ最後までお付き合いください。

 

なお、今回お伝えする内容は新規性のある事業・サービスについて儲かるかどうかを判断する考え方になります。

既に大きくなった企業については当てはまりにくい部分がありますのでご了承ください。

たとえばトヨタやNTTよりも、新規事業や上場したての企業の方が当てはまりやすいです。

大原則1:ビジネスモデルを方程式化する

事業性の見極めのために、本稿では大原則を2つご紹介し、それぞれ解説していきたいと思います。

まずはその一つ目、ビジネスモデルの方程式化です。

どういうことか説明していきますね。

 

対象とする事業のビジネスモデルを以下の方程式で整理します。

 

熱量 × プロダクト × マーケティング × マネタイズ

 

この掛け算が大きければ大きいほどビジネスを軌道に乗せやすく、また大きくなる蓋然性が高いです。

めっちゃ大事なので大原則1とします。

留意点

方程式はすべて掛け算であることに注意してください。

3つが平凡でも、1つがぶっちぎりなら成功する蓋然性が高まりますし、

反対にどれかひとつでもゼロがあればビジネスとして成功する可能性もゼロとなります。

熱量とは

ひとつめの要素の「熱量」とは、

  • ユーザーの抱える課題がどれだけ逼迫しているか
  • 同じ課題を抱える人がどれだけ多いか

を表しています。

 

熱量が高い状態とは

  • 「今すぐお金を払ってでも解決したい人たち」を容易に想像できる(困ってることの深さ)
  • 困っている人がたくさんいる(困ってる人の数)
  • 寝食を忘れて没頭する濃いファンやオタクがいる(困ってるわけではないが、すごく好き)

ような状態です。

イメージつきますかね。

プロダクトとは

プロダクトとは、その企業が提供しているサービスや製品の質のことです。

ニーズにうまくフィットした製品になっていると評価が高いです。

逆に、せっかく熱量が高くともプロダクトが良くなければ使われません。

 

競合製品や従来品よりも課題を

  • 上手に解決できる
  • 圧倒的に安価に解決できる

ものであるほど良いです。

マーケティングとは

マーケティングとは、ここでは簡単に「潜在ユーザーをどうやって見つけて顧客にするか」と定義します。

 

※なお、ややこしくなるので顧客獲得コストや生涯価値の推計みたいな内容はここでは無視します。シンプルに集客だけです。

 

マーケティングの難易度が低ければ低いほど、評価は高くなります。

例えば口コミであっという間に拡散されるならマーケの難易度は低いですし、

逆にテレビCMを打たないと気づいてもらえないようだと難易度はとても高いと言えます。

マネタイズとは

マネタイズとは、どのタイミングでどういう形で誰からお金をとるかということです。

マネタイズの仕方にも工夫や難易度はあり、それ次第でサービスの良し悪しが決まります。

 

たとえばevernoteやdropboxで有名になったフリーミアムだと、一般ユーザーは基本的に無料でサービスを受けられるものの、ヘビーユーザーになるにしたがって課金せざるを得ないマネタイズの設計にしているものもあります。

あるいはカミソリのジレットでおなじみですが、最初のセットを低廉でユーザーに配り、刃の買い換え時に厚い利益をとるモデルも有名です。

 

一般的に、先払いで違和感をもたれないプロダクトは強いです。

先払いしてでも手に入れたいと思うユーザーが多いということですから。

会社にとっても現金が先に入るので財務上大助かりです。

 

また、都度決済よりも定額で払ってもらえるビジネスの方が収入が安定するので評価が高いです。

以前までマイクロソフトはOfficeソフトをパッケージ売りしていました。

しかしそれではフロー取引なので収益が安定しません。

そこで最近のOffice 365はサブスクリプションとなっており、年額で使用料を支払う形に変革しました。

会社としては長く使ってもらえば売り切り型よりLTV(生涯価値)が高く、収入も安定しますし、ユーザーにとっても初期費用が低く済みますし、会員である限りバージョンアップ等のサポートが受けられるというメリットもあります。

 

そして最後、誰からお金をもらうか。

「ユーザーからじゃないの??」と思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

メディアの広告モデルならフィーは広告主からもらいます。

ユーザーは記事を見るにあたって一円も払わずに済んでいます。

またたとえば求人では、転職エージェントは転職したい人から一円もお金を取らず、ユーザーの転職が決まったら転職先の企業に仲介手数料を請求します。

さらに、たとえば医療機関では医療費の大半は国から支払われます。

 

こうした点を踏まえてマネタイズのフィット感・難易度を評価する必要があります。

 

■どのタイミング

  • サービスを提供する都度(一般的な取引。物販など)
  • サービス提供前(先払い。ディズニーの年間パスポートなど)
  • サービス提供後(後払い。リボ払いやZOZOタウンのツケ払いなど)
  • 定額(VODやクレカの年会費など)

など

 

■どういう形

  • 手数料
  • 広告
  • 売り切り
  • サブスクリプション

など

 

■誰から

  • 直接ユーザーから
  • 広告主から
  • 事業会社から
  • 国から
  • ユーザーの近親者から(ユーザーは子供だけど購入者は親みたいなパターン)

 

こうした点を踏まえてマネタイズはよく考えなければなりません。

徹底的に考え抜かれたサービスは、マネタイズも美しいものです。

大原則2:同じアイデアを試そうとした人は過去に100人はいる

さて大原則2をご紹介します。

それは「同じアイデアを試そうとした人は過去に100人はいる」というもの。

どういうことか説明します。

 

その会社の事業構想がどれほど斬新で、また競合がいないように見えても、これまでに誰かしら100人以上はそのアイデアを思いついて実践してきています。

たくさんの人が同じことをして、そして失敗してきたのだという前提に立つことがとても大事です。

どうしてみんな失敗してきたの?

  • どうして過去の先達はみな失敗してきたのか?
  • 中にはその会社より優秀な人たちもいたはずだ
  • 上手くいかなかったのにはそれなりの理由があるはずだ
  • その会社と、その会社に投資をしようとしているあなたは、それをきちんと把握しているか?

という疑問に答えられない限り、先達と同じ過ちを繰り返すことになります。

 

  • タイミングが早過ぎた?
  • 実はニーズがなかった?
  • 売上よりコストの方がかかってしまう事業特性がある?

そうした点を考える必要があります。

考えるべき問い

具体的にあなたが考えなければならないのは下記の3点です。

明確に答えられるように考え抜きたいですね。

  1. 競合製品や従来のソリューションとはいったい何が違うのか?
  2. なぜ今なのか
  3. なぜその会社じゃないと出来ないことなのか

それぞれに納得のいく答えを探しましょう。

ポイントおさらい

大原則1:ビジネスモデルを方程式化する

大原則2:「過去の100人」とは違うことを確認する

 

1と2を押さえながらサービスを見るようにしてみましょう。

四季報速読と組み合わせて、大量のインプットとアウトプットを繰り返すと身につくと思いますよ!

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フォローのすすめ

ところで、あなたは株クラスタばかりフォローしていませんか?

事業性の嗅覚を研ぎ澄ましたいなら、新規サービスが出たら真っ先に反応して将来性や事業性についてツイートするような人をフォローすると良いですよ。

 

他にも、官報をウォッチしているようなアカウントもGood!

官報は様々な企業の簡易決算書が見られるので、地味な企業が意外と儲かっていたり、メディアで華々しい企業が全然上手くいってなかったりと、とても学びが多いです。

最後に

さてここまで事業性を見極めるコツを解説してきましたが、いかがだったでしょうか?

投資家だけではなく、新規事業のアイデアに行き詰っている方にもご参照いただける内容を目指しました。

まだまだ初級編なのでもっと奥が深いのですが、参考になりましたら幸いです。

 

みなさんも是非このような考え方も取り入れて、企業やサービスを見られてみてはいかがでしょうか?

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