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ホリエモンが考えるJリーグのグロース施策が面白かったからまとめたよ

f:id:Buffett_code:20181202160057p:plain昨夜私の録画プレーヤーがファインプレーをしまして、たまたまFOOT×BRAINが録画されていました。

自動録画用のキーワードを登録していまして、その中には「堀江貴文」や「起業」なども登録されているのですが、同番組のゲストが堀江氏だったのです。

その内容がとても良かったので内容をまとめてツイートしましたが、ブログでも加筆修正しようと思った次第です。

 

堀江氏は3年前からJリーグアドバイザーなので各種施策が地に足ついていて、かつとても具体的でした。

さすがですね😳

世界のスタジアムや異業種の実例を元に多数の助言をされていましたが、今回番組を見逃した方に向けて要点をまとめました✨

 

なお、(当たり前ですが)堀江氏は試合担当ではなくビジネス担当なので、あくまでサッカーをコンテンツととらえた場合の収益化、ビジネス開発についてコメントされています。

 

番組内で明かされていましたが、堀江氏のJリーグアドバイザリーは月3万円だそうです。

堀江氏の助言と考えたらめちゃくちゃコスパ良いですね。

スタジアムの「結界」をなくすべし

▼チームは人気があるから強くなる

▼弱くてもそこにいきたくなるような環境づくりが大事

「勘違いしている人が多いが、強いチームだから人気が出るという順番ではなく、人気があるチームだから自然に強くなる」のだそう。

これは説得力ありますね。

広島カープの例を挙げていましたが、10〜15年前は弱かったけれどもファミリーや女性といったファン層を掴んでファンの熱量を大きくしてきた結果として、チーム育成に投資できたり有力選手を獲得しやすくなったんだということかと理解しました。

 

▼年間2〜3回しか行かない人をいかに取り込むかが肝要

コアなファンというよりはカジュアルなファンを増やすことが収益拡大には直結します。

サッカー好きの彼氏に連れられてきた彼女や、非日常なイベントでリフレッシュするために来場するカジュアルファンなどでしょうか。

コンテンツへの熱狂度よりもそれ以外の要素で誘引される層なので、スタジタムの設備や混雑しない女子トイレ、そこでしか食べられない屋台グルメなどが鍵になりそうです。

客を常連化させる

▼飲食店の初回来店者のリピート率はわずか10%

あくまで飲食店のリピート率ですが、初回来店からのリピート率はとても低いのです。

リピート率をあげることは、新規顧客を獲得するコストよりも圧倒的に低いというのは有名な事実です。

逆にいうと2度3度と来場させることができればハイリピーターになる可能性が高くなります。

 

▼常連化して客単価を上げる

リピート施策はコストが安いことに加え、リピーターの客単価は高いということもよく知られた事実です。

マイカーでスタジアム近くの有料駐車場に停めて→グルメ食べて→ビール飲みながら観戦して、といった具合にたくさん消費してくれるわけです。

常連化に向けた施策は野球などに比べてまだ弱いそうで伸び代がありますね。

 

▼常連化施策は次回来店時の無料チケットや友人招待でキャッシュバックなど

堀江氏は「ソシャゲ課金と同じ発想」がワークするだろうとのこと。

 

▼VIP待遇を進める

一番スタジアムやチームにお金を払うのは来場者ではなくスポンサー。

ヨーロッパではスポンサー向けのVIPルームが進んでいて、最新設備でVIPをもてなすようになっているとのこと。

Jリーグではそのスポンサー施策がまったくできていないらしいです。

具体的にVIP待遇で何が変わるのかというと、まずスポンサーが喜ぶので収益の下支え効果が出てきます。

そして(これがおもしろい発想だったのですが)地元有力者の社交場になるだろう、と。

そうなるともはやサッカーを見るための施設という定義ではなくなり、ビジネス上の重要な施設となります。

スタジアム価値の向上というところでしょうか。

顕在化してる問題の解消

問題1. 渋滞

▼akippaを使って可視化・有料化すべし

スタジアムの渋滞問題は極めて深刻だそう。

スタジアム運営は民営が少なくて駐車場が無料になっている→当然渋滞する、という状況だとか。

ジャパネットタカタでおなじみの高田社長が運営するV・ファーレン長崎ではakippaと提携してスタジアム内の駐車場がすべて有料になっています。

akippaならダイレクトプライシングも可能ですし、空車/満車が遠隔でも一目で確認ができてとても便利ですよね。

 

▼ピークシフト対策

スタジアムはどうしても入場、退場の時間帯に一斉に動くので渋滞が発生しやすい構造になっています。

その渋滞対策のひとつとしてピークシフトがあります。

→グルメで来場時間を早める

→スーパー銭湯で退場時間を遅らせる

→なんならホテルで宿泊も

こうした施策でピーク時の混雑を緩和し、しかもその時間でユーザーにお金を落としてもらえるので一石二鳥ですね。

前述の高田社長率いるV・ファーレン長崎ではすでにスタジアム周辺にモールや宿泊施設をつくる計画が始まっています。

さすが商売人ですね。

問題2. 少子化

▼小中高で集団競技は人が集まらない

野球やサッカーのように大人数が必要な競技はどんどん人が集まりにくい状況になっていて、テニスや卓球、バトミントン、水泳のような個人競技に人が流れています。

実際近年の世界大会での成績が良いのはそうした個人競技ですしね。

 

▼競技人口が減るため外国人枠を拡大・撤廃

そうした中で、10年後にも日本人だけでJリーグを維持するのは難しいというのが堀江氏の意見。

今から外国人枠を緩和、あるいは撤廃してアジア選手を取り込むことが肝要です。

施策評価のために実例のインプットを積み上げよう

私が今回スタジアムの課題と施策を取り上げた理由

なぜ企業分析界隈の私がスタジアムの課題を取り上げたのか。

この課題に限らず、私は上場企業でもない未上場企業やサービスに関する発信が多めです。

それはなぜか。

 

一言で言うと「企業分析における施策評価には知識量が比例するから」です。

異業種だろうと、国が違えど、サービスのPMF(プロダクトが顧客に刺さっているか)を確認したり、事業を成長軌道に乗せたり、事業を撤退・統廃合するまでにはたくさんの施策を打つわけです。

その施策が良策が愚策かを判断する能力は、投資家やビジネスマンにとって極めて重要なスキルです。

施策評価には知識がモノをいう

たとえばですが、食べログが今テレビCMを開始しましたが「知名度はあるのになぜ今」と思った方も多いはず。

実は食べログのTV CMは今回が初めてだそうです。

CMなんて打たなくても最大の宿敵ぐるなびは弱っているわけです。

どうして?と思うところですが、

  • 目的はなんだろう(「食べログ」での検索流入数の増加、特定ワードでの検索順位上昇、アプリのDL数の増加などが考えられます)
  • 目標(KPIなど)は何で、どれくらいだろう
  • そこに向けて訴求できているだろうか
  • 目標は達成できそうかな
  • コストに見合いそうだろうか

みたいなことを限定的な情報から判断できるのが強い投資家・ビジネスマンなのです。

(CMを見た瞬間に「これは良さそうだ!」と思えば株を買うわけです)

 

しかしTV CMを実際に打ったことがある人と、打ったことはないけどTV CMのユニットエコノミクスについて話を聞いたことがある人と、何も知らない人で感じ方・受け取り方がまったく違います。

その差は経験>知識>無知で決まるわけです。

経験できる人/できない人は仕事や運に左右されますので、せめて知識だけは詰めておきたい、引き出しを増やしておきたいという思いで、私は多様な業界のグロース施策や業績パターンのインプットを欠かさないようにしています。

その一貫でツイートもしています。

財務や会計をこねくり回して悦に入るな 大事なのはビジネス理解だ

株式投資というと財務がどうとか会計がどうとかチャートがどうとか、そういった専門的な話が先にしがちですが、私はビジネス理解の方が圧倒的に大事だと思っています。

ここでいうビジネス理解とは、ある事業について初めて知ったときにそれが儲かりそうかどうか、将来的にどうすれば儲かるか、それを感じ取る力のことです。

「〇〇なので儲かっているはずだ」や「〇〇の課題が解消されたらコストが減って利益体質になるはずだ」と考えた時に、それを検証するために財務や会計が登場するわけです。

 

財務や会計はとても大事ですが、かといって会計士や税理士が投資が上手かというと必ずしもそういうわけではありません。

取引のうまい会計士もいるでしょうが、おそらく平凡なリターンに収斂するはずです。

一方、業界の先端をいく企業で働くマーケターの方が業界や競合の将来予測が上手で、ずっと良いリターンを出すのではないでしょうか。

(だからといって財務・会計の勉強放棄はおすすめしません)

 

ビジネス理解力をつけるために、そしてそれがユーザーの皆さんにとってもなんらかの示唆になるように、今後も発信を続けていきたいと思います。