バリュー投資家のみなさんは、日夜ポートフォリオのパフォーマンス改善につながるアイデアを考えておられることでしょう。
ひとつのアイデアとして、アクルーアルの利用が挙げられます。
案外知られていない指標なのですが、なにも新しい考え方ではなく、割と前から実証分析なども行われている指標になります。
本項ではアクルーアルの指標としての可能性について言及します。
アクルーアルとは利益の質を見る指標
アクルーアル(会計発生高)とは、決算上の利益と現金収支(キャッシュフロー)の差のことをいう。
現金収入を伴う質の高い利益かどうかを見極める指標で、特別損益を除いた税引き後の利益から営業キャッシュフローを引いて算出、マイナスとなる企業は、現金収入を伴った質の高い利益を産み出している企業とされる。
一般的に、企業の粉飾決算を見抜くための指標として使用されるほか、株式投資の指標としても活用されることがある。
要するに、会計上の利益と営業CFの間の差分をみる指標です。
一般にアクルーアルは小さければ小さいほど良いとされます。
会計上の利益が大きいけどCFに反映されていない場合、例えば売上を架空計上して、売掛金が不自然に増えているような粉飾のケースなどはアクルーアルが高くなります。
これは極端な例ですが、売掛金が少なく、在庫も適正な水準だったならアクルーアルは小さくなります。
これを「利益の質が良い」と表現します。
株価指標(PER等)に低アクルーアルの条件を追加するとPFのパフォーマンスがかなり上昇する、というお話。
— バフェット・コード (@buffett_code) June 1, 2018
とても興味深いです。
※アクルーアル=営業利益−営業CF
一般に、アクルーアルが低いということは利益の質が良い会社ということ。
グラフは、アクルーアルの高低で分けた時のリターン変化。 pic.twitter.com/pV5cr5YKXB
このアクルーアルの条件をマルチプル(PERやPBRなど)と併用して投資基準を作ることで、ポートフォリオのパフォーマンスを向上できるということです。
PERが割安というだけでなく、アクルーアルが低いということを条件に追加するということです。
パフォーマンスが改善する理由として考えられるのがこれ。
投資家は(とりわけ日本では)、キャッシュフローより会計上の利益を重視する傾向が強いです。
— バフェット・コード (@buffett_code) June 2, 2018
そのためミスプライシングが生じやすいというわけです。
アクルーアルの低い企業が中長期で再評価される傾向にあります。#利益は意見 #CFは事実 https://t.co/85DkB3NYQi
アクルーアルについては存外に反響がありまして、驚きました。
アクルーアルが言及されているのを初めてみました!
— MM (@matsuyoinikki) June 1, 2018
事業部で管理会計をやっている人には馴染み深いアクルーアル、株式投資にも活かせる知識です。 https://t.co/F0LS2CBtE5
アクルーアルアノマリー。これは1996年の文献データですよね?近年はイマイチとききます。
— systematicEDGE (@systematicEDGE) June 2, 2018
ぜひご自身のポートフォリオのアクルーアルをチェックされてみてはいかがでしょうか。