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コングロマリット・ディスカウントとは

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ちょっと耳慣れない言葉「コングロマリット・ディスカウント」。

もしかしたらはじめて耳にする方もいるかもしれません。

 

昨今は事業ポートフォリオの「選択と集中」を追及する会社が増えている一方で、垂直統合や水平統合を加速させて多角化を図る企業もあります。

多角化自体は、事業の季節性であったり固有のリスクを分散するという意味で、必ずしも悪いこととは言い切れません。

しかし、多角化を進めることで顕在化するデメリットについても、株主なら正確に理解しておくことは肝要です。

 

本稿では主に株式市場における多角化のデメリットについて、コングロマリット・ディスカウントにスポットライトを当てながら解説したいと思います。

コングロマリットディスカウントとは

 

注意したいのは、事業を多く抱えているからといって、コングロマリット・ディスカウントが発生するわけではないということです。

ツイートの例にもあるように、まったく本業と関係ない事業を持っていると発生するのです。

 

なぜビール会社が不動産業やるの?

なぜテレビ局が不動産業やるの?

なぜ食品会社がプロ野球球団持ってるの?

なぜ通信キャリアが巨大ファンド持ってるの?(球団も!)

などなど

 

ディスカウントを受ける理由としては主に下記のようなものがあります。

 

 

①と②が特に重要です。

①はつまり、ビール製造業のバリュエーションと不動産業のバリュエーションの両方に知見がある人ってほとんどいないよねってことです。

②は、「俺はキャリアの将来性を評価して投資したんだ!なのに手当たり次第に投資するファンド業なんてやめてくれよ。どの会社・どの業界に投資するかはおれ自身で決めるから、キャリア業だけやっていっておくれよ泣」ということです。

投資銀行ではコングロマリットの企業価値をこう算出する

市場評価ではディスカウントを受けている可能性が高いコングロマリット。

では実務上、理論価値を評価するのってどうやっているのか、気になりますよね。

そこで登場するのがサム オブ ザパーツという評価手法です。

 

 

要は、事業それぞれを事業価値評価して、最後に合算すれば良いんじゃね?っていうことですね。理屈はシンプル!

 

ただ、投資銀行においてシニアバンカーからSOTPの分析を依頼されたジュニアバンカーは内心とても苦々しい気持ちになります。

なぜならば...

 

 

と、いうことです笑

(慣れれば徹夜なんてことにはなりませんが)

 

サッポロHDなどは事業数もそこそこに、競合も数社で明確なので分析しやすいです。

気が向いたらSOTP分析をやってみると、とても勉強になって良いかもしれませんよ。