ROEって他の財務指標と比べても人気のある指標ですよね。
それでいてめちゃくちゃ奥の深い指標です。
それこそROEのことだけで書籍が何冊も書けてしまうくらいに。
ROEが低いとマルチプルはあてにならない?
TOPIXのPBRとROEの相関をとってみたサーベイ結果。
— バフェット・コード (@buffett_code) May 23, 2018
ROE8%以上だとPBRは1倍を超えて明確な比例関係が見られます。
一方で、面白いことにROE8%以下だとPBRが比例しないという結果に。
ROE8%が境になってるのは、伊藤レポートと無関係ではないはず。 pic.twitter.com/my60d7m1b8
要は、ROEが8%以上の企業でないと株価指標であるPBRはワークしない、ということがわかります。
株主価値を高めたくば資本コストを上まわるROEをめざせ
これは良いサーベイ。
— バフェット・コード (@buffett_code) May 21, 2018
機関投資家に大規模アンケートした結果、株主資本コストの目安は7%少々と見て良さそう。
伊藤レポートのROE目標が8%なので、それとも整合的ですね。 pic.twitter.com/ZiGZBXo5ez
資本コストの求め方は難しいのですが、理論的に算出を試みることも重要な一方で、市場のコンセンサスは必ずしも理論的には決まりません。
多様な考え方の参加者の思惑・思索の結果で決まるからです。
そのコンセンサスに強い影響を及ぼすのが機関投資家。
その機関投資家への貴重なヒアリング結果が7%という数字。
もちろん資本コストなんて水物なので、企業個別の要因や市場環境で変わりますが、平均の目安ととらえることはできます。
下記のツイートの通り、ROEと資本コストの差であるROEスプレッドが正である限り株主価値は向上します。
そのROEは、伊藤レポートで目標値8%として掲げられました。
それを基にすると資本コスト7%というのは違和感のない水準です。
なお、伊藤レポートについて復習したい、概要をざっと把握したいという方はこちらの記事がおすすめです。
ポートフォリオのパフォーマンスを高めたければ資本コストを上まわるROEの会社に投資せよ
ROEと資本コスト、株価リターンの相関を調査した分析結果。
— バフェット・コード (@buffett_code) June 9, 2018
ROEー資本コスト>0
これが成り立つとき企業価値は向上します。
ROEスプレッドが大きいほど(右奥ほど大きく、左手前ほど小さい)、株価リターンが高まっているということが読み取れます。 pic.twitter.com/T2OnmlQh7g
前述のとおり残余利益モデルによると、理論上はROEスプレッドが正であれば株主価値が高まります。
上のツイートの調査では、実際にスプレッドが大きいほど株価リターンが良いことがわかります。
最後に
ROEは算出が容易にもかかわらず含蓄のある指標です。
完全にマスターするにはたくさん勉強する必要があります。
しかしROEを極めれば、会社経営においても株式投資においても役に立つことは間違いありません。
なお、資本コストの算出は論点が多く、一朝一夕で算出できる代物でないことは事実です。
律儀にCAPMで導出するところもあれば、ざっくり4〜15%くらいのレンジの中で、個社の事情によってエイヤで決めるという株価アナリストもいるくらいです。
本稿はROEについてなので深く立ち入りませんが、機会があれば資本コストについてもまとめてみたいと思います。