バフェット・コードのブログ

企業分析に役立つ記事を配信中

【CCC】キャッシュ・コンバージョン・サイクルで明かされる競争優位とは

 

f:id:Buffett_code:20180828103936p:plain

キャッシュ・コンバージョン・サイクル、いわゆるCCCをご存知でしょうか?

中級者向けの雰囲気ただよう財務指標なのですが、企業分析をする上でとても重要なので、今回はそのCCCについて少し触れてみたいと思います。

CCCとは

CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)とは、企業が原材料の購入や商品仕入れするために現金を投入してから、商品が売れて最終的に現金を回収するまでの日数のことです。

もっと簡単に言うならば、現金を投入してから再度現金で回収するまでの日数ということですね。

CCCは資金効率を見るための指標です。CCCは日数が短ければ短いほど、早く資金を回収できているということなので好ましいのです。

 

CCC自体の詳しい説明はこちらの記事(外部サイト)をどうぞ。

CCC(Cash Conversion Cycle)とは

ターンアラウンドではCCCの改革が一丁目一番地

ターンアラウンド案件は宝の持ち腐れの不採算事業を立て直し、短期間でキャッシュフローを改善する必要があるわけです。

ポイントは会計上の利益ではなくキャッシュフローだということ。

ターンアラウンド着手前はボロボロの状態ですので、純資産は毀損していますし、とてもじゃないけど融資も受けられません。

そうした場合、黒字であったとしてもキャッシュフローが不足して倒産するケースが多いわけです。

なので会計上の利益ではなくキャッシュフローを高める必要があるというわけです。

 

キャッシュフローを高めるための重要な施策のひとつは、余分に滞留している資産をどんどん流動化(現金化)していくということ。

いつ売れるかわからない不良在庫をいつまでも倉庫に眠らせておくのは、一切収益を生まないキャッシュを無駄に倉庫に放置していることと同義です。

 

あるいは、たくさん商品が売れたとしても売掛金としてずっと滞留しているという状況が続けば、いつまでも現金が入って来ないために次の商品を仕入れできません。

 

そうした資産をどんどん流動化して資金の回収を早くできれば、すぐ作ってすぐ売ってすぐ稼げる状態になります。

財務体質の良好な企業ほどCCCの最適化をつねに研究しており、業界水準と比べても非常に優れた日数を叩き出しています。

 

 

 

CCCを短くするためにまず取り掛かるのは、

・買掛金の増加、長期化

・在庫量の最適化

・売掛金の回収強化

です。

支払いはなるべく先に、受け取りはなるべく早くを徹底するわけです。

 

ここで「在庫量の最適化」ですが、単純に在庫を減らすということではない点に留意が必要です。

在庫というのは多過ぎればもちろんキャッシュが滞留する原因となるのでダメですが、少な過ぎても在庫切れを起こして機会損失が出るのでダメなのです。

これには正確な需要予測をする、必要な分だけ製造する、などの極めて高度なプロセス改善が必要になってきます。

CCCで透けてみえる競争力

CCCから読み取れるのは単なる回収プロセスの改善だけではありません。

もう少しイマジネーションを働かせて見たいと思います。

 

まず買掛金を増やすこと。

常識的に考えて「次から現金仕入じゃなく掛けにしてくれ」なんていっても「はいそうですか」とはなりません。

取引先としては、掛けにしたら踏み倒されるリスクが高くなるだけなので、当然嫌がります。

 

そうした状況下でも掛け取引に応じてもらえる会社とはどんな会社でしょうか?

それは取引先にとって当該会社がなくてはならない大口顧客だった場合です。

  • いつも大きなロットで生産を委託してくれるので、他社にスイッチされたくない
  • 長い付き合いで信頼関係がある
  • 今後も売れ続ける商品であることに変わりは無いので引き続き生産を任して欲しい

 そうした交渉力がある会社ということです。

 マイケル・ポーターのファイブフォース分析のひとつに「売り手に対する交渉力」というのがありますが、それです。

一旦まとめますと、買掛金を増やしたり期間を伸ばせる会社は取引先への交渉力があると考えられます。

 

では次に売掛金を見てみましょう。

売掛金は反対に当該会社が掛け取引に応じた場合のものです。

キャッシュ化をしたいならば売り掛けには応じず、なるべく現金商売に近い取引条件に転換するということです。

もしその条件を呑んでくれるとしたら、現金(あるいは短期の掛け)で支払っても良いと思えるくらいその商品がどうしても欲しい、と思ってもらえているということです。

 

では最後に在庫はどうでしょうか。

上述の通り、在庫は単純に少なければよいというわけではありません。

必要なときに必要なだけ手元に在庫がある状態が理想なわけです。

 

たとえば、

  • あらかじめ必要な量がかなり正確にわかっていて、その分だけ作る
  • 注文を受けてから生産する(実際の引渡しまでは在庫になる)

という状態を指します。

これは言うは易し行うは難しの典型で、プロセス改善は競争優位に繋がるノウハウになります。

たとえば分かりやすいところだとトヨタのカンバン方式がそれにあたります。

 

こうしたことを踏まえて、過去につぶやいたアップルのCCCに関するツイートをご覧下さい。

 

 

リツイ元の記事はこちらです。

kessanmaster.com

アップル製品はプロダクトの競争力が強いため顧客は即金で買いますし、取引先は大量の受注が出来るために掛け取引にも応じます。

販売戦略の一環でしょうが、発売当初はいつも品切れで在庫が無い状態です。

その結果、なんとCCCがマイナスということが起こりうるということです。

 

また製造業といえばここ、日本電産。

当然ながら日本電産でもCCCには本気で取り組んでいます。

 

 

「モノがよく売れるようになった」とかではなく、CCCの改善によって手元キャッシュを増やせるというのがポイントです。

日本電産くらいの売上規模だと、CCCの改善だけで何も無いところから500億円のキャッシュがポッと湧いて出てくるのです。

500億円もあれば得意の企業買収が1件でもできそうですね。

まとめ

今回はCCCについてまとめてみましたが、いかがだったでしょうか?

地味な指標ではありますが、強い会社・大きな会社であればあるほどプロセス改善にしのぎを削っています。

それ専門の人材・部署があるくらいですから。

すなわちCCCは競争力の裏返しということでもあります。

 

ぜひ会社の競争優位を確認するときにはCCCも競合と比べてみてください。

あらたな分析の景色が見えてくるはずです。