普段個別株の、それもスポットのイベントについて株価分析なんてしないのですが、PayPayの流行り具合がすごくて俄然興味が湧いて面白そうだったので、珍しくつらつらと書いてみました。
- ビックカメラの行列がやばい件
- PayPayの決済はほぼビックカメラでしょ?
- キャンペーンがなかったとしてもビックカメラで買っていたであろう人を控除する
- 利益のインパクトは(たぶん)昨対14.3%
- 今のところの市場の反応(株価の様子)はどうか
- 終わりに
ビックカメラの行列がやばい件
ビックカメラの行列がやばいですね。
レジまでの長蛇の列ができていて、各階に収まりきらずに階段で下のフロアまで列をなしていました。
その列を見ていて、ふと気になったのでPayPayによる業績への影響をちょっと試算してみることに。
PayPayの決済はほぼビックカメラでしょ?
いきなりですが、今回ヤフーがばらまく100億はほぼビックに使われていると推察します。
一部コンビニでも使えますが単価はせいぜい数百円ですので、単価が数万円かつ行列ができているビックカメラに大半のお金が落ちているだろうなと。
キャンペーン後半には次第にビックカメラ以外への支払い比率が増えるとしても、100億円のうち8割はビックカメラに落ちると仮定します。
- 前半→取引金額ベースで9割はビックカメラ
- 後半→コンビニ等での支払い機会が増えて相対的にビックカメラの比率が下がる
で、80億円がビックカメラでの決済還元に使われたとすると、ビックカメラの販売金額は80億円÷20%で400億円ですね。
キャンペーンがなかったとしてもビックカメラで買っていたであろう人を控除する
もともとキャンペーンがなかったとしてもビックカメラで何らか購入するはずだった人は、ビックカメラにとってPayPayの影響を受けていないので除外したいですね。
肌感覚ですが、そんな方はそんなに多くはないと思います。
今PayPayで一番売れているApple製品をこれでもかと買ってるのはせどらーがメインですが、彼らはPayPayキャンペーンがなかったからビックカメラで買わなかったひとたち。
なぜならApple製品は新品価格が下がらないのでビックカメラで買う意味がないから。
次いで多いのはゲームなどのクリスマス商戦で買われる商品の先食いでしょうか。
一方でAmazonやヨドバシから奪った客も多そうですね。
今回は簡易的に、キャンペーンがなかったとしてもビックカメラで購入していたはずの人は10人に1人だったとしたいと思います。(あまりロジックないです。肌感覚)
ということで400億円のうち10%を控除して360億円がPayPayで生まれたビックカメラの経済効果となります。
利益のインパクトは(たぶん)昨対14.3%
2018年8月期のビックカメラの業績は
・売上:246,391百万円
・営業利益:4,248百万円
ですので、営業利益率は1.72%。(さすが量販店は利益率がカツカツ...)
ということで営業利益のインパクトは360億円×1.7%で6.1億円。
すなわち昨年の営業利益に対して14.3%増のインパクトということに。
今のところの市場の反応(株価の様子)はどうか
ビックカメラがPayPayに対応すると発表したのが12月3日。
株価はそれ以降緩やかに上昇しています。
発表前日(12月2日)の終値は1,596円、12月7日(金)の終値が1,658円。
まだ3.8%の上昇にとどまっています。
営業利益と同じインパクトを株価に反映するならば1,824円付近まで上がってもおかしくないかもしれませんね。
ただ、気がかりなのはすでに会社の業績予想に組み込まれているであろう点。
ビックカメラは8月決算でして、10月19日に本決算を発表しています。
PayPayは現場のオペレーションが必要なので、当然キャンペーンの1ヶ月半前のこのときにはヤフーとキャンペーンについての詰めをやっていたことが容易に想像できます。
ですので会社予想にPayPayの影響を加味している可能性があります。
その今期予想ですが、上期(9〜3月)の昨対が
売上:+3.1%
営業利益:-7.8%
となっています。
...え?
営業利益は昨対で減るの?
PayPayやってるのに?
これは
①ヤフーがPayPayキャンペーンの発表前だったのでPayPayの経済効果をまだ含めなかった
②PayPay効果に鑑みても、クリスマス商戦等が昨年より盛り上がらないと見ている
のどちらかでしょうね。
去年ってとびきり年末儲かった年だった(つまりその反動が今年大きい)とかでしたっけ?
いずれにしてもこの「業績予想に加味されているのか問題」は慎重に考えないといけないでしょうね。
終わりに
駆け足で書いてみました。
たぶん今後こうしたスポットの分析はもう書かないです笑
ウォーレン・バフェットは10年間の長期の傾向で見る人で、単年の変動にあまり関心を払いませんから。
また、計算する上でいろいろ勝手な仮定をおきましたが、違和感がある箇所などは読者の皆さんで調整して結論を出していただければ幸いです。
少しでも議論のタネになったならば、恥ずかしい頭の中を晒した甲斐があるというものです笑