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座学が苦手な僕が勉強会を運営する理由

こんにちは!しゅう です。

暑くなってきましたね、僕は3時のおやつにスイカ&メロンバー1を解禁しました。 僕は圧倒的にスイカバーが好きで、いっそ全部スイカバーにしてほしいんだけど、みんなはどうなんだろう?

それはともかく、今回は技術勉強会についての僕の考え方や、主催している勉強会「Data & Analytics 井戸端会議」について書いてみようと思う。

座学が苦手な僕が勉強会を運営する理由

勉強会と座学

僕は「人の説明を聞いて理解する」のが苦手だ。それは学生の頃からで、歳を取るにつれて多少マシにはなったけれど、基本的には変わっていない。「授業の受け方がわからないまま、学生が終わった」と言い換えてもいいかもしれない。

僕にとっての勉強は「教科書や参考書を読んで、問題集を解いて、間違えたところをやり直す」を繰り返すことで、そのうちわかるようになるというものだった。学校の定期テストも入試も(1年浪人の末に)その方法でクリアした2し、プログラミングもそうやってできるようになった。

逆に言うと、一斉授業で何かを理解したり、習得した記憶はほとんどない。大学浪人時代も予備校の授業をサボって問題集を解いていたこともある。会社の合同研修やハンズオン形式のセミナーも正直めちゃくちゃ億劫だった。

だから、勉強会の「XXについてガッツリ発表を聞く」という時間はあまり得意ではない。集中力が切れてしまうし、気になった用語を調べているうちに、発表から完全に置いていかれることも多い。

むしろ、質疑応答や発表後のちょっとした雑談の方が得るものが多い。前職や前々職で海外カンファレンス3に参加したときも、本編の発表よりも、その後のBirds of a Feather(BOF)4が楽しみだった。本編は、BOFで話すためのネタ探しの時間だったような気さえする5

自分で発表する側に回るのも好きだ。発表資料を作る過程で、自分が何をどう考えていたかを初めて理解することも多いし、当然BOFや懇親会の話題も一番自分が興味のある分野の話題になる。資料づくりには相応の時間がかかるが、それでも登壇は勉強会を最大限に活かすやり方のひとつだと思う。

「座学で学ぶのは苦手だけど、勉強会自体は好き」という少しねじれたスタンスで、いろんなイベントに顔を出していた。

コロナ禍と勉強会

2020年、COVID-19の流行をきっかけに、多くの勉強会が一気にオンライン化した。いわゆる、「新しい生活様式」「New Normal」というやつだ。

当然、このことは僕のような勉強会参加のスタイルには致命的だった。完全に話を聞くのに飽きてしまい、気づけば仕事の続きのコードを書いたり、PRのレビューをしていることも少なくなかった。BOFや懇親会も減り、勉強会の楽しみは半減してしまった。

特に最悪だったのは、登壇が圧倒的につまらなくなったことだ。参加者はほぼミュートで、発表者はなんの手応えもないまま、スクリーンに向かって話を続けなければならない。コメントや参加者の表情が見れることもあるけれど、それだけでは寂しく、準備に対して割に合わないと感じることが続いた。

「Data & Analytics 井戸端会議」を始めたわけ

そんなこんなで、しばらくは技術勉強会からなんとなく遠ざかっていた。

が、ひょんなことから前回のブログ

blog.buffett-code.com

を寄稿してくれたsyu_creamと社内のデータ基盤構築とその活用について話すことがあった6

この技術領域をやってる多くの人が賛成してくれると思うんだけど、この界隈は

  • 最初は極少人数で、しかも片手間で始めることが多い。しかし、割とすぐにデータの量や複雑性が指数関数的に増えて手に負えなくなる。
  • 独自のノウハウやスキルセットが必要な技術領域という先入観を持たれがちで、社内に相談できる人が少ない。
  • 上記の通り単純に人数がいない上に人材の流動性が低く、採用が難しい。

という状況がずっと続いている。結果として、今日もアナリストは「うちの会社のデータは汚い」と文句をいい、セキュリティ担当は「データのリネージとACLをちゃんと管理してほしい」と釘を差し、偉い人は「いくらなんでも金かけすぎじゃない?」と心配する7

これはある意味構造的な問題なので、「一朝一夕にはどうにもならないが、それでも何か手を打ちたいよね」という気持ちで立ち上げたのが「Data & Analytics 井戸端会議」だ。現場の課題を抱えた人が集まって、お互いのリアルな経験やノウハウを共有しあえば、明確な「答え」は教えてもらえなくても、何か具体的なヒントが生まれるんじゃないかという仮説を持っていた。

前述の通り僕は「一方的に話を聞く勉強会」が苦手だが、それは座学が参加者の現実的な課題解決にもつながりにくいと感じていたからだ。そこでこの勉強会は、トークセッションを「話のきっかけ」に留め、"Ask the Speaker" という双方向のディスカッションを本編にしている。つまるところBOFなのだけれど、 "Ask the Speaker" に変えたのは、単純にBOFという呼び名があんまり日本語になっていないことと、具体的に何をしたらいいかがわかりやすいほうが参加者が話しやすいという予想からだ。

すでにもう2回ほどやっていて、それぞれの参加者の声を聞くと、わりと運営側の意向がうまく伝わった手応えがある。毎度、勉強会の最初に「この勉強会はどういうものか」という説明を

speakerdeck.com

という感じでしているのだけど、その中で「この勉強会は、登壇者と参加者が同じような立場の人たちが集まって、お互いに話をしあう会」だとということを伝えている。

2回とも、『Ask the Speaker』があまりにも盛り上がってしまい、その後の懇親会をもう少しカジュアルな雑談の場にしたかったのに、議論のテンションを引きずってしまって、進行が難しかった。とはいえ、第2回は自然な流れで「二次会行くか🍺」という話になり、懇親会の延長戦が行われた結果、理想的なカジュアルさになったので、このあたりはうまくいったと思う。

具体的に、この2回がどんな会だったか、というのは↓を参照。

ちなみに、次回は7月11日(金)に開催予定。次回は「アナリストから見たデータ基盤」というタイトルで、みんなで話せたらいいなと思っている。

data-analytics-idobata.connpass.com

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勉強会運営の目的のひとつは、データにまつわる人材の流動性向上と採用だ。
井戸端会議 #01で評判が良かった資料8を貼っておくので、是非一度読んでみてほしい。

speakerdeck.com

そして、ピンときたらバフェットコードのエンジニア採用ページも見てみてほしい。

Appendix


  1. LOTTEの「スイカ&メロンバー」。スイカバーとメロンバーが3本ずつ入っている。
  2. このスタイルは、幼い頃からの公文式が影響している気がする。ちなみに大学入試で1年の浪人が必要だったのは、授業の受け方云々ではなく、単純に勉強をサボっていたからだ。
  3. 前職(mercari)・前々職(Yahoo! JAPAN)では何度か海外カンファレンスに参加した。感謝。
  4. Birds of a feather flock together(同じ羽の鳥はいっしょに群がる)の略。
  5. こうかくと、ものすごく英語ができそうな感じがするが、僕は英語が苦手で、技術的なこと以外全然話せない。もっというと、英語さえできれば浪人なんてしなかった・・・。
  6. 当時の彼は社内のデータ分析基盤のリードをしていた。詳しくはUbie のテックブログを参照。
  7. かれこれ10年くらいこの領域をやっている自覚があるが、あまり状況の変化を感じない。
  8. それなりに拡散された っぽくて満足した