PBR1倍を割ったら、会社を清算して株主に分配した方が実入りがあるので、割安水準だ!
なんて真顔で解説する人や雑誌をよく見ます。
今回は「その説明は間違ってるかもよ?」というお話です。
株関連の入門書に必ずと言って良いほど「PBR1倍割れ」に言及がありますが、どれほどの意味があるんでしようね。
— バフェット・コード (@buffett_code) 2018年4月22日
負債は割と時価に近いですが、資産は取得時の簿価がガッツリ乗っているので、清算価値とはまったく別ですから。
同様に、個人的には流動比率や固定長期適合率などの指標も、時価とのギャップの大きそうな簿価を使用する点で危険だと思っています。
— バフェット・コード (@buffett_code) 2018年4月22日
要は資産を清算するときは時価なワケですから、B/Sに簿価で乗ってる金額とは全然違う処分金額になっちゃうということです。
たとえば土地。
30年前に本社ビルを建てるために購入したとすると、当時の取得価額が簿価としてB/Sに計上されます。
その後、周囲の開発が進んで地価がどんどん上がり、ついに時価で10倍の値段になったとしましょう。
清算するなら当然10倍になった時価で売却するわけですが、簿価は取得時のまま。
つまりB/Sの簿価を基準にした清算価値などなんら信用できるわけではないということです。
同様に、たとえば機械設備などはB/S上は事務的に決められた耐用年数の期間で償却をします。
定率法を採用していたなら初年度にガクンと簿価を減価しますが、すごく人気の機械設備なら、中古だろうと新品とほぼ同じ金額でも処分できるかもしれません。
このように会計上の減価償却方法なんて、そこにどれほどの論理性があるかというと、実際は限界があるといわざるを得ません。
なお、「PBR1倍割れは割安」を否定するものではありません。
「清算価値を下回るから」という論拠は誤りですよ、ということです。
「PBR1倍は割安」という部分について否定するものではありません◎
— バフェット・コード (@buffett_code) 2018年5月3日
あくまでその論拠部分について言及しました。
過去のPBRと株価の実績を研究すれば、本当に割安だという結論に至るかもしれません。
ただ、解散価値で割安だとする論拠は理論上誤りです、ということでした♪
ではPBR1倍以下の本当の意味とは?
PBR1倍の本当の意味は、ROEを上回る資本コストを達成できていない、ということ。
— バフェット・コード (@buffett_code) 2018年4月22日
すなわち、投資家の期待リターンを上回る収益を生み出せていない状態、というのが正確です。 pic.twitter.com/MgFXjgbhUs
実際の意味するところはこのようになります。
ROEを資本コストが上回っている限りにおいては、PBRが1倍を超えます。
PBRが1倍以下、すなわちROEが資本コストを上回っていないということは、企業価値を毀損しているということでもあります。
もちろん、外部要因によって一時的に株価が下がり、PBRが1倍を割ることもあるでしょうが、恒常的に1倍を割っている会社は避けたいところです。
誤った情報を伝えるものはシャットアウトすべき
初中級者にとって、書店に並ぶ本の9割は読む必要がないと思いますし、何ならおかしな方向に意識づけされる分害悪であるとすら思っています。
— バフェット・コード (@buffett_code) 2018年5月5日
・チャート分析の本
・10倍株、稼ぐ、儲ける、〜を買いなさい系のタイトルの本
・「PBR1倍以下は精算価値を下回るから割安だ」と解説する本
など。
株式投資の理論に向き合った書籍かどうかを見分ける方法は簡単で、「PBR1倍は解散価値を下回っていて割安」と説明していたらそっ閉じすること。
— バフェット・コード (@buffett_code) 2018年5月3日
PBRが1倍を下回るということは、株主の期待リターンを上回るROEを達成できていないということです。
解散価値で語る投資家や本は多いですが要注意です。
いつも触れる情報は、その質を大切にしたいところです。
食べたもので身体が作られるように、叩き込んだ知識で世界観・人格・知識体系が形成されます。
誤った情報を一度入れてしまうと、その情報を抜くことの方が難しかったりします。
正しい情報をシャワーのように浴びて、少しずつ分析力を養っていきたいものですね◎