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PBR1倍割れの本当の意味

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PBR1倍を割ったら、会社を清算して株主に分配した方が実入りがあるので、割安水準だ!

なんて真顔で解説する人や雑誌をよく見ます。

今回は「その説明は間違ってるかもよ?」というお話です。

 

 

 

要は資産を清算するときは時価なワケですから、B/Sに簿価で乗ってる金額とは全然違う処分金額になっちゃうということです。

たとえば土地。

30年前に本社ビルを建てるために購入したとすると、当時の取得価額が簿価としてB/Sに計上されます。

その後、周囲の開発が進んで地価がどんどん上がり、ついに時価で10倍の値段になったとしましょう。

清算するなら当然10倍になった時価で売却するわけですが、簿価は取得時のまま。

つまりB/Sの簿価を基準にした清算価値などなんら信用できるわけではないということです。

 

同様に、たとえば機械設備などはB/S上は事務的に決められた耐用年数の期間で償却をします。

定率法を採用していたなら初年度にガクンと簿価を減価しますが、すごく人気の機械設備なら、中古だろうと新品とほぼ同じ金額でも処分できるかもしれません。

このように会計上の減価償却方法なんて、そこにどれほどの論理性があるかというと、実際は限界があるといわざるを得ません。

 

なお、「PBR1倍割れは割安」を否定するものではありません。

「清算価値を下回るから」という論拠は誤りですよ、ということです。

 

ではPBR1倍以下の本当の意味とは?

 

実際の意味するところはこのようになります。

ROEを資本コストが上回っている限りにおいては、PBRが1倍を超えます。

PBRが1倍以下、すなわちROEが資本コストを上回っていないということは、企業価値を毀損しているということでもあります。

 

もちろん、外部要因によって一時的に株価が下がり、PBRが1倍を割ることもあるでしょうが、恒常的に1倍を割っている会社は避けたいところです。

誤った情報を伝えるものはシャットアウトすべき

 

 

いつも触れる情報は、その質を大切にしたいところです。

食べたもので身体が作られるように、叩き込んだ知識で世界観・人格・知識体系が形成されます。

誤った情報を一度入れてしまうと、その情報を抜くことの方が難しかったりします。

 

正しい情報をシャワーのように浴びて、少しずつ分析力を養っていきたいものですね◎