企業分析をするとき、市場環境や競合の動向を分析することも大事ですが、企業の施策の妥当性を調査することも大事です。
でも個別施策を評価するって、実務に詳しくないといきなりは難しいですよね。
そこで考え方の参考になればと、簡単なケース問題を1問ご用意しました。
あなたならどのように考えるでしょうか?
ケース問題
月商が1,000万円の会社があります。
商品はコモディティではなく、@1,000円で1万個販売しています。
仕入原価は@750円なので粗利は250万円ですが、固定費も月250万円かかっています(すなわち利益0)。
この会社が100万円の利益を出すために最も効果的な施策はどれでしょうか?
①販売数量を増やす
②仕入単価を下げる
③固定費を減らす
④商品を値上げする
なお、フォロワーにアンケートしてみた結果は下記になります。
【ケース問題】
— バフェット・コード (@buffett_code) August 12, 2018
月商が1,000万円の会社があります🏬
商品はコモディティではなく、@1,000円で1万個販売しています。
仕入原価は@750円なので粗利は250万円。
でも、固定費も月250万円かかっています(すなわち利益0)。
この会社が100万円の利益を出すために最も効果的な施策はどれでしょうか?
解説
それぞれ100万円の利益を出すために必要な数字を出します。
①100万円÷@250円=4,000個(数量40%増)
②100万円÷1万個=100円(13.3%値引き交渉)
③固定費-100万円(固定費40%削減)
④100万円÷1万個=100円(10%値上げ)
答え④
現場のオペレーション視点でも考えてみる
以上は数字だけですが、実際のオペレーションを鑑みても
①数量増は値下げを伴いがち。営業が疲弊
②値引交渉は購入数増を伴いがち。一般的に難易度高い
③すでに切り詰めている蓋然性が高い
④コモディティでなければ販売数量は減らさずとも値上げ余地あり
なので、④の難易度は比較的低いです。
コスト削減の補足
費用削減は即効性がありますが問題は規模感です。
固定費というと人件費、家賃、広告費などですが、この規模の会社で100万円だと人員整理くらいしかなく、販売戦略や従業員のモチベーションへの大きな影響が予想されます。
費用削減は基本ですが、本件では縮小均衡の懸念が強まります。
参考になる回答
問題文での情報が限定的なので、私の用意した正解に一致しているかどうかは瑣末な問題です。
解説の前に、参考になった考え方をツイートくださった方をご紹介します。
とてもシンプル、簡単な問いかなと。
— リンクスリサーチ (@links_research) August 12, 2018
”固定費を減らす”
それ以外はすべて取引先に依存しており、実現するかどうかはわからない。販売数量増やしたい、仕入れ単価を下げたい、値上げしたい、どれも相手があることで実現可能性は非常に低い
100万円の利益を出すために固定費を下げて対応しようとすると250万かかってる固定費を100万削らないといけない。固定費40%削減は現実的ではない。では、販売数量は?粗利は@250円なので、100万の利益出すために追加で4000個売らなければならない。売上40%アップも大変。
— ハルキ@年齢=インデックス投資歴 (@harukindex) August 12, 2018
(続き)仕入単価下げて100万の利益を出すためには@100円下げる必要。13.3%の値下げに相当。販売価格を上げて100万利益を出すためには@100円(10%)値上げが必要。商品はコモディティではないというだし、答えとしては値上げかな。
— ハルキ@年齢=インデックス投資歴 (@harukindex) August 12, 2018
コモディティ化されていない商品であれば、価格競争力は高いはずで、
— えみりー@バイク乗り(ゆるふわ+もしかして変態?)/2 (@Emily_CB400SF) August 13, 2018
もっと高価でも買う人はいるはず。
原価を下げることも考えたけど、
下げてしまうと他社に依頼するケースが考えられる→競合が生まれる可能性があり価格競争の観点からNGになってしまうので
価格を高くする方にvoteしました! https://t.co/pLYORLhI20
実際に値上げで対応したら、おそらく逆に10%売上が下がる企業の方が現実には多い気がします。要するに、「値上げできるような製品」を持つ企業が宜しかろう、ということですね。 https://t.co/fz08fikwak
— gaisan5 (@gaisan5) August 13, 2018
④商品の値上げ。
— けとる (@mikanbit555) August 12, 2018
固定費は商品の要だから削って瑕疵が出るのは避けたい。
販売個数は簡単に伸ばせるものではない。
現在ビジネス採算のぎりぎりラインなので、値上げして顧客がその価格でサービス内容に満足しないなら業態転換するのもありかと思います。 https://t.co/q9wf72mLh1
販売数量増やすにはなんらかの施策が必要で、固定費も増える。
— しばたジュン@ポルトガル推し (@junsibata) August 12, 2018
原価↓といっても仕入れ元との折衝があるからそう簡単ではない
固定費↓のはいろんな場合があるとおもうけど下げたら下げたで弊害ありそう。
商品がコモディティじゃないのであれば値上げ可能なのでは?という感じで考えました。 https://t.co/FIn3OQKzud
黒字化したい時間軸にもよりますね。
— KG (@XDXDXDKKKGGG) August 12, 2018
短期的な効果では、自分でコントロールできる
固定費>仕入原価
の低減が効果大
でも上の2つだけだと、従業員や仕入先の離反がおきかねないので、長期的には
販売価格>販売数量
で手を打ちますね
https://t.co/cPbZtM699a
コモディティでないなら教科書的に④一択だろうけど、実際の顧客を前にして値上げするというのは恐ろしく気合が必要な所作やで https://t.co/0bJpnsmVOo
— ハッテンお祭り社長 (@adatic) August 12, 2018
効果的の解釈が難しいけど、100万の利益増だけ目指すなら、減らせる固定費減らす。そのままかつ永久的に利益貢献。
— たなかけんじ (@tamaplasyukatsu) August 12, 2018
次は値上げ。コモディティではないので価格弾力性低いはず。他社にシェア取られなければ、さらなる利益増も狙える。仕入れは相手があるので難しい。数量増は相手もある上、効率悪い。 https://t.co/a2dPzZPxix
1と4:売れ残り在庫を抱えるリスク。
— くろしば@BTCFXBOT開発中 (@kuroshiba_vc) August 12, 2018
2:仕入先間で競争させて単価下げる。
3:もしも人件費を削るとブラック化。従業員がやる気なくし効率低下。
と、素人ながらに考えて2です😅 https://t.co/fFqnS3F61P
【蛇足】値上げについて
一般的に利益を上げるためには値上げを検討します。
ただし、それが受け入れられるよう良いプロダクトを作らねばなりません。
バフェットもコカコーラのように消費者独占的な企業を好みます。
コミディティではなく、「炭酸ならコーラでしょ」というように純粋想起されるような会社です。
逆に言うと、値上げ余地があるということは永続的競争優位性がある証左ですね。
ディズニーランドやUSJ然り、Amazonのプライム会員然り。
そういった会社の株を買うようにしたいものですね。