バフェット・コードのブログ

企業分析に役立つ記事を配信中

財務分析用のWebサービス「バフェット・コード」について

 

この度、バリュー投資家やグロース投資家のみなさんに向けて、煩雑になりがちな財務分析・ファンダメンタル分析の手助けができないかと「バフェット・コード」というWebサービスを作りました。

パブリックベータ版をリリースしましたので、こちらのブログで紹介させてください。

バフェット・コードは財務データや株価データを元に各種指標を確認できることはもちろん、スクリーニングや企業比較、株価のダウンロード機能などを備えている便利なサイトです。

たとえばヒストリカルマルチプル(PERやEV/EBITDA)などは、個人で作成するには非常に手間がかかる上、他ではあまり参照できないものなので貴重なデータかと思います。

 

外資系投資銀行で働いていた経験をつぎ込んで絶賛開発中ですので、ご関心を持たれた方は一度触っていただけますと幸いです。(利用は無料)

バフェット・コード トップページ

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SPEEDAやCapitalIQがない環境で財務分析しなければならない状況に愕然とした

まずバフェット・コードを作るに至った理由についてお話ししたいと思います。

私は新卒から外資系投資銀行に勤めていて、そこからIT企業の経営企画部に転職しました。

外資系投資銀行ではSPEEDAやCapitalIQ、Bloomberg、AstraManagerなど、プロ向けのツールが豊富に使えましたので、未公開企業ならまだしも、上場企業について財務データの収集や株価の取得で苦労することはさほどありませんでした。

なぜなら株価や財務数値などは、それらのプロ(法人)向けツールでカンタンに取得できたからです。

(“どう加工するか”にはいつも腐心しましたが)

 

ところが転職をして、そうしたプロ用のツールが気軽に使えない「個人投資家」となったことで、プロとそうではない層とで投資情報の質と量の隔絶を実感するようになりました。

なぜプロ用のツールが気軽に使えないかというと、そのような専用ツールは大変に高額で、それゆえ法人契約しか存在しません。

なかには年間億円単位で投資銀行が使用料を払っているものもあります。

個人では、十分な質と量の情報にアクセスしたくてもできないのです。

個人投資家という立場になったとき、その戸惑いはとても大きなものでした。

 

株価ってどこでダウンロードできるんだろう?

EPS成長率とROEでスクリーニングしたいんだけど、できるサイトはないの?

PERやEV/EBITDAのヒストリカルマルチプルはどこで見れるんだ??

このサイトのPERの計算の定義はどうなっているのだろう?実績?予想?予想だとしたら今期予想なのか来期予想なのか。予想値はコンセンサス?あるいは会社予想?

 

ひとつひとつの機能なら限定的に使えるサイトなり証券会社のツールがあるのですが、やりたいことによってサイトを使い分けなければならず、とても不便でした。

それならと、自分でエクセルを組んで半自動更新されるようなモデルを作っておこうとも思いました。

幸い投資銀行で日夜働いていたので、目をつぶってもEV/EBITDAのヒストリカルマルチプルはエクセルで作る自信がありました。

しかし作業を始めてほどなく、認識の甘さに気づきました。

大事なことを忘れていたのです。

財務データは企業HPのIRページから取得し、株価はヤフーファイナンスから取得し、エクセルにコピペするという作業は、途方も無く煩雑な作業だということを。

1社2社ならまだしも、10社とか20社を作る気には到底なりませんでした。

 

IT企業で働いているのになぜこんなアナログな作業をいまだにやっているのだろう。

きっと同じように不便に思っている投資家はいるはずだ。

だったら作ってしまおう!

 

こうしてバフェット・コードの開発が始まりました。

それが2017年、ゴールデンウィークのことでした。

バフェット・コードを使ってみる

バフェット・コードの機能

そうした想いから作ったサイトですから、SPEEDAやCapitalIQが使えない個人にとって最低限必要だと思う機能を実装しました。

私自身がそのとき欲しいと思ったものを乗せていったのでユーザーファーストであり、私自身がコアユーザーです。

1. 個別銘柄の財務数値や株価指標を見よう

トップページの検索窓から個別銘柄ページに飛ぶと、下記のような情報が一覧で見られるようになっています。

概要ページになりますので、大事な数字だけまとめて見られるようにしています。

とりあえずこのページだけ見れば、初期的なアリかナシかの判断が出来るようになっています。

概要ページ

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株価ページ

さらに株価関連に特化して詳細を見たい場合は、左ナビから「株価」ページに飛びます。

すると下記のような画面になり、株価推移やヒストリカルマルチプルが最大3年まで見れたり、TOPIX対比の株価パフォーマンスなどを一覧できるようになります。

株価やヒストリカルマルチプルの最長期間は、今時点では3年間ですが、いずれもっと長い期間を見られるようにしたいと考えています。

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財務ページ

個別銘柄に関しては、そのほかにも財務ページなどをご用意しています。

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2. 財務数値や株価指標でスクリーニングしよう

投資基準に当てはまる企業を探したい場合には、条件検索(スクリーニング)機能が有用です。

ためしに下図のように、

  1. 売上高1,000億円以上(円単位で入力)
  2. ROE12%以上(%単位で入力)
  3. PER30倍以下(倍数単位で入力)

で検索してみました。

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このスクリーニング結果は下記のとおりです。

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並び順は売上高の降順になっています。

こういう感じでフィルタリングを試行することで、自分だけの黄金指標「バフェット・コード」を探していただくのが良いかもしれません。

3. 同業他社などを比較して財務上の競争優位を調べよう

3つめは企業比較の機能です。

上で紹介した「スクリーニング機能」は財務数値から企業群にたどり着くアプローチなのに対して、逆に企業群から財務数値を出すのが「企業比較」になります。

同業他社の財務数値を一覧で見ることで、財務上の競争優位を分析するのに役立ちます。

 

たとえば簡単な例で見てみましょう。

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上記のように携帯キャリア大手を並べてみると、他社に比べてソフトバンクのROEの高さが目立ちます。

その要因をデュポン分解で見てみると、利益率にはさほど違いはない一方で、財務レバレッジがダントツに高いことが見て取れます。

ソフトバンクのROEの高さは収益性によるものというよりは、投資のための負債のアグレッシブな活用の結果、ということが推察できるかと思います。

 

こうして競合他社を比較することで、調べている会社の強みであったり戦略が見えてきますので、是非一度気になる企業グループでおためしください。

4. 株価終値をダウンロードしよう

株価を閲覧できるサイトはいくつかありますが、使い勝手の面であったり、株価を取得するためだけにそのサイトを訪れるのは面倒だ、という不便さはあると思います。

バフェット・コードなら株価を確認できるだけではなく、株価をcsvでダウンロードすることも可能です。

(財務数値のダウンロード機能については近々リリース予定です)

 

ためしにトヨタ自動車(7203)とホンダ(7267)の株価を2年分取得してみます。

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こういう感じで企業と期間を選択しますと、下記のように株価の終値をデイリーで取得できます。

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株価パフォーマンスなどを分析したい場合には、右上にあるダウンロードを押下するとcsvダウンロードが開始されます。

バフェット・コードを使ってみる

今はまだパブリックベータ版。暖かく見守っていただけると嬉しいです

サービスをリリースしたとはいえ、まだまだパブリックベータ版です。

必要な機能追加やUIの改善、コンテンツ拡充、情報精度の向上など、課題は山積です。

ですので、ユーザーの皆様とよりよいサービスになるように一緒に作り込んでいけたらと思っています。

 

そこで運営からのお願いです。

ご関心がございましたら、是非一度下記リンクからサイトをのぞいてみてください。

全機能無料でご利用いただけます。

また、不具合や数字の違和感などがありましたら公式ツイッターアカウントまでご連絡いただければ、なる早で対応します。

激励などもお待ちしています(開発陣のモチベーションにもなります)。

そしてプロダクトが良いものだったらSNSで拡散いただけますと、開発者として望外の喜びです。

バフェット・コードを使ってみる

twitter: @buffett_code

 

よろしくお願いいたします。